崩壊寸前の路線バス 「真犯人」はお前だ!【連載】ホンネだらけの公共交通論(15)

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筆者が教えている大学でも、学生が公共交通について真剣に学び、考えるようになったのは、大学や大学院に入ってからだという。これが路線バス崩壊の最大の原因ではないのか。

交通教育の重要性

路線バス(画像:写真AC)
路線バス(画像:写真AC)

 公共交通の崩壊は、生活者が公共交通について真剣に考える機会や場を設けなかった政策の失敗がもたらしたのではないか。より踏み込んでいえば、TODを推進し、初等時から交通教育を行い、常に当たり前のこととして、

「自分のことのように考える習慣」

を身につけさせるべきだ、ということである。

 大学や大学院からでは遅いし、学ぼうとする人も限られている。公共交通を重視したまちづくりが“常識”となるような教育方針や制度設計があれば、公共交通を軽く見るのではなく、今よりももっと真剣に考えるようになる。もしそうしていれば、路線バスを利用する人の数は減らなかったはずだ。

 また、「地域公共交通の活性化及び再生に関する法律(平成19年法律第59号)」に基づき、公共交通の課題や今後の施策について協議・検討する場として、各自治体に法定協議会が組織されている。この法整備は決して早いとはいえない。そもそも、日本の路線バスの利用者数が減少し始めたのは1985(昭和60)年頃からである。

 筆者はこれまで、「遅かれ早かれ、どの地域でも路線バスの危機が訪れる」といい続けてきた。現在では、モビリティ(自由な移動の権利)を基本的人権の平等として位置づける必要性が、法学研究でも主張されている。

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