路線バスを諦めるな! 車両や営業所の「空きスペース」を有効活用すれば、稼ぐチャンスはまだまだある【連載】ホンネだらけの公共交通論(5)

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公共交通事業者は固定観念をなくし、未来のあるべき姿を整理し、それを実現する方法を考えるべきだ。

「買い物列車」の可能性

路線バス(画像:写真AC)
路線バス(画像:写真AC)

 日本では、地方都市を含め、都市圏外の幹線道路沿いに商業施設が集中する傾向がある。そのため、

・運転免許を持たない高齢者
・障がい者
・子どもとその親

が、買い物に行くことが困難な「買い物難民」という課題に直面している。買い物ができなければ、日常生活は成り立たない。これはまさに日本全国で解決すべき喫緊の課題である。

 そこで、筆者(西山敏樹、都市工学者)の研究室(東京都市大学都市生活学部)の学部生が中心となり、地方都市を走る鉄道の車内に食料品や日用品を陳列し、スーパーマーケットとして機能させる「走るスーパー・買い物列車」を運行させる新たな社会実験を3回行った。

 これは、単線区間ですれ違いのために使用されるひとつのホームに列車を30~45分間停車させ、その間に乗客が買い物をできるようにするシステムだ。

 3回目となる実験は、

・稲取高等学校(静岡県東伊豆町)
・伊豆急行(同県伊東市)

と共同で実施。高齢者の需要が高い弁当、総菜の販売まで拡大し、駅構内での簡易カフェ営業も加えて、地域住民から高い評価を得た。

 企画段階では、高齢者、障がい者、子どもやその親の日常の買い物に対するニーズがきめ細かく考慮され、あらゆる人の生活をサポートするユニバーサルサービスデザインが実現できた。

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