路線バスを諦めるな! 車両や営業所の「空きスペース」を有効活用すれば、稼ぐチャンスはまだまだある【連載】ホンネだらけの公共交通論(5)

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公共交通事業者は固定観念をなくし、未来のあるべき姿を整理し、それを実現する方法を考えるべきだ。

社会的課題に挑む新モデル

路線バス(画像:写真AC)
路線バス(画像:写真AC)

 筆者が勤務する東京都市大学は、学校法人五島育英会によって運営されている。

 同会の創設者は、東急の創業者・五島慶太氏である。その縁もあり、「走るスーパー・買い物列車」の実証実験は、静岡県伊東市から下田市までを結ぶ伊豆急行線を運営する伊豆急行(東急グループ)と共同で行われた。

・地域内の分かりやすいところを走る鉄道および駅を生かして「買い物難民」の課題へアプローチした点
・通常の鉄道車両を利用しているので排ガスを出さずエコに「買い物難民」の課題へアプローチできている点
・地方鉄道の新しいビジネスシステムのモデル提案およびSDGsの精神にも合致するソーシャルデザインの実施

という観点から評価され、2022年度グッドデザイン賞、2022年度環境省グッドライフアワード・サステナブルデザイン賞などを受賞している。

 もちろん筆者の研究室にも、鉄道だけでなく「路線バスに応用したらどうか」という要望が各方面から多数寄せられている。買い物バスが地域を巡回し、通院などの移動ニーズと買い物ニーズの両方を満たすことができれば、日常生活の質は劇的に変わるだろう。

 このような買い物列車や買い物バスを標準化し、各地に定着させることが筆者の夢である。

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