バス・タクシーの乗務員はなぜ「名前表示」が義務付けられていたのか? 京王バス「ビジネスネーム導入」で考える
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京王電鉄バスグループが、バス車内に掲示する乗務員名について、本名とは異なる「ビジネスネーム」を選択できる制度を導入した。そもそも、なぜバスやタクシーに乗務員名の表示が義務付けられたのか。
カスハラ増加、乗務員に深刻な影響
ところが近年、氏名表示がかえって不利益をもたらす事例が相次ぐようになった。それは、乗客による乗務員への悪質クレーム、いわゆるカスタマーハラスメントの増加だ。
カスタマーハラスメントとは、顧客や取引先からの暴力や暴言、理不尽な要求などによって、労働者の尊厳や人格を傷つける行為を指す。
バス・タクシー業界でも、乗務員へのカスタマーハラスメントは深刻な問題となってきた。その実態を明らかにしたのが、全日本交通運輸産業労働組合協議会(交運労協)が2021年5月から8月にかけて実施した「悪質クレーム(迷惑行為)アンケート調査」だ。
この調査では、回答者の46.6%が直近2年以内に利用者からの迷惑行為の被害にあっていることが判明した。実に約半数の労働者がカスタマーハラスメントの被害に遭った経験がある実態が浮き彫りになったのだ。
さらに深刻なのは、被害回数が16回以上に上る組合員が643人(全体の3.1%)もいたことだ。一部の労働者が常習的な迷惑行為のターゲットになっている実情までもが判明したのである。
迷惑行為の内容を見ると「暴言」が49.7%でトップ、次いで「何回も同じ内容を繰り返すクレーム」が14.8%で続いた。そのほか威圧的な言動や長時間の拘束など、精神的苦痛を与える行為が上位を占めた。