今の自動車業界に「圧倒的に足りないもの」とは何か?【リレー連載】本田宗一郎「わからないからいい」を再考する(2)

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わからないからいいんだね――。日本自動車界の伝説・本田宗一郎は、生前のテレビ番組で「無知の知」を説いた。現代社会は合理化が進み、物事の予測可能性は上がった。そしてビジネスマンは知識武装し、SNSは「知」と自己顕示欲に満ちている。そんな今こそ「無知の知」に立ち返り、知の傲慢と対峙すべきではないか。

環境に配慮した技術

サステナビリティのイメージ(画像:写真AC)
サステナビリティのイメージ(画像:写真AC)

 もうひとつ忘れてはならないのは、サステナビリティ(持続可能性)への取り組みである。環境負荷の低減やエネルギーの有効利用の重要性はますます高まっており、燃費向上やEVの普及のためにも、持続可能性に配慮した技術開発が求められている。

 こうした環境問題への本田の取り組みの一例が、今も語り継がれるCVCCエンジンの開発である。排ガス規制の先駆けとなった大気浄化法の改正案「マスキー法」は1970年に制定された。

 この厳しい法案は、1976年以降に製造される自動車に対し、窒素酸化物(NOx)、炭化水素(HC)、一酸化窒素(CO)などの大気汚染物質の排出量を1970年製造モデルの10分の1にまで削減することを義務付けた。

 当時、本田はこの新たな挑戦を

「4輪の最後発メーカーであるホンダにとって、他社と技術的に同一ラインに立つ絶好のチャンスである」

と捉えていたという。(本田技研工業ウェブサイト)

 1972年にホンダが発表したCVCCエンジンは、世界で初めてマスキー法の基準をクリアし、ホンダは世界の自動車メーカーの仲間入りを果たした。このエンジン技術はその後、トヨタやフォードなど他の自動車会社にもライセンスされた。

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