北京五輪後に迫りくる? 「台湾有事」が日本モビリティ業界に及ぼす“不測の事態”とは

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いわゆる「台湾有事」を巡って2021年以降、台湾当局者や米軍幹部などからより踏み込んだ発言が相次いでいる。万が一の事態に、日本のモビリティ業界はどのような影響を受けることが予想されるのか。

日本への影響、カギとなる「半導体」

 まず、台湾は地理的に日本のシーレーン付近にあり、台湾で軍事衝突が始まれば日本の経済シーレーンは大きな影響を受けることになる。

 日本は石油の9割を中東に依存しており、シーレーンは中東からインド洋、マラッカ海峡、南シナ海、バシー海峡、沖縄以東を通過して日本本土につながる。台湾有事となれば、日本へ向かう商船や石油タンカーの安全な航行が阻害され、中国海警局や海軍による臨検や拿捕(だほ)の対象になる恐れは排除できない。

 台湾有事は日本の経済安全保障、エネルギー安全保障の観点から極めて重要な問題である。

 また、現在、モビリティ業界にとっても半導体不足が大きな問題になっている。日本でも電化製品や自動車を扱う店舗では半導体不足によって出荷が遅れているとの話も聞く。

 日本政府は半導体分野で先端を走る台湾との関係を強化する方針だが、台湾有事となれば半導体を輸入や生産協力などで大きな影響が出てくると思われる。半導体不足と台湾有事と関連させて考えることも重要だろう。

 一方では、邦人退避の問題もある。台湾には2万人あまりの日本人が生活をしている。その多くが企業駐在員やその帯同家族であるが、仮に有事が本格化すれば、台湾から日本へ安全に退避するというシナリオは現実的ではなくなる。

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