“危機的”国内防衛産業の維持へ国が本腰 「輸入増→撤退→基盤崩壊」悪循環どう断ち切る

キーワード :
, , ,
防衛省が2022年度から国内防衛産業基盤の維持・育成を強化する。輸入装備が増加する一方で、国産装備の海外輸出が思うように進まず悪循環に陥っている防衛産業をどう立て直すのか。同省の打ち出した施策の一つが、DXの推進だ。

撤退相次ぐ防衛装備品 防衛省も危機感

航空自衛隊が導入するF-35B戦闘機。国内で最終組み立てと検査が行われているF-35Aとは異なり、完成機をアメリカから輸入する形で導入される(画像:イギリス海軍)。
航空自衛隊が導入するF-35B戦闘機。国内で最終組み立てと検査が行われているF-35Aとは異なり、完成機をアメリカから輸入する形で導入される(画像:イギリス海軍)。

 防衛省が令和4(2022)年度から、危機的な状況にある防衛産業基盤の維持・育成に本腰を入れる。

 2021年8月31日、防衛省が令和4年度予算の概算要求を発表した。同省は概算要求と年末の予算案の発表時に、来年度予算の概要をまとめたパンフレット「我が国の防衛と予算」を発表しており、その冒頭では来年度、同省がどのような事業に重点を置くのかが示されている。

 今年度(令和3年度)の「我が国の防衛と予算」の冒頭では、宇宙・サイバー・電磁波領域の強化や、スタンド・オフ防衛能力の整備、少子高齢化も踏まえた人的基盤の強化などが挙げられていたが、令和4年度はこれらの事業に加えて、防衛産業基盤の強化が明記されている。

 防衛産業をめぐっては、利益率の低さに加えて、航空自衛隊のF-35戦闘機や海上自衛隊のSM-6ミサイルといったアメリカからのFMS(対外有償軍事援助)を使用する防衛装備品の輸入が増加しており、相対的に国内企業が製造する防衛装備品が減少している。そうしたこともあって、防衛装備品の製造から撤退する企業が相次いでいる。

 防衛省もこの状況に危機感を持っており、防衛装備庁は2020年12月17日に経団連(日本経済団体連合会)と意見交換会を実施している。この意見交換会では「サプライチェーンの維持・強化」「契約制度および調達のあり方」「先進的な民生技術の積極的な活用」「情報保全の強化」「防衛装備・技術の海外移転」の5項目についての話し合いが行われている。令和4年度概算要求には、ここで得た知見を基にしたとみられる防衛産業基盤の強化へ向けた様々な施策が盛り込まれている。