北京五輪後に迫りくる? 「台湾有事」が日本モビリティ業界に及ぼす“不測の事態”とは

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いわゆる「台湾有事」を巡って2021年以降、台湾当局者や米軍幹部などからより踏み込んだ発言が相次いでいる。万が一の事態に、日本のモビリティ業界はどのような影響を受けることが予想されるのか。

台湾有事、想定される事態とは

中国・台湾・日本を含む東アジアのイメージ(画像:写真AC)。
中国・台湾・日本を含む東アジアのイメージ(画像:写真AC)。

 我々が無意識に想像するのは、中国軍が台湾に侵攻し、米軍が関与することで戦火が拡大するシナリオだろうが、これは可能性としては低い。

 中国は軍事力を強化しているが、米軍は中国軍にとって大きな抑止となることは間違いなく、中国にとっても台湾侵攻はかなりのリスクとなる。しかし、海上や上空での中国軍と台湾軍の偶発的衝突によって情勢が一変し、緊張がエスカレートする恐れは排除できない。

 北京政府は、新疆(しんきょう)ウイグル自治区やチベット自治区、そして香港と同じように、台湾を絶対に譲ることのできない核心的利益に位置づけており、台湾を国内の一部と認識している。

 中国は2005(平成17)年3月、台湾の独立阻止を目的に反国家分裂法と呼ばれる法律を全人代(日本の国会に相当)で採択し、その条文では「平和的統一の可能性が完全に失われた場合、非平和的措置および他の必要な措置をとる」と明記しており、軍事的可能性を排除していない。

 我々も中国側がその意思を持っているということは念頭に置く必要がある。

 しかも、現在、台湾の蔡英文(さい えいぶん)政権は独立思考が強く、中台関係は極めて悪化しており、中国・習政権は神経を尖らせていることからも、予断を許さない情勢であることに変わりはない。

 このような情勢に照らし、日本経済、モビリティ業界にはどのような影響があるのか。

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