世界放映権は3000億円レベル 日本だけが取り残されそうな「F1ビジネス」の知られざる可能性

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コロナ禍後、2023年上期は円安で好決算を出す日本企業が続出した。筆者は、グローバルな視点から “F1ビジネス”の可能性を見直す時期に来ていると提言したい。いったいなぜか。

米国メーカーの再参戦ラッシュ

F1。筆者撮影(画像:J.ハイド)
F1。筆者撮影(画像:J.ハイド)

 ブーム再燃のため、米国自動車メーカーも次々とF1参戦を発表。2004年に撤退したフォードは2026年からレッドブルへエンジン供給を発表。またゼネラルモーターズ(GM)は高級車ブランド「キャデラック」でチームスポンサー契約を締結し、2028年の参戦予定がリリースされている。

 2030年には、FIAがF1にゼロエミッション燃料を採用するという目標を掲げているという報道も、自動車メーカーに参戦への大きな動機を与えた。その結果、ホンダは2026年以降、チーム・アストンマーティンにエンジンを供給することを発表し、一息ついた。しかし、最近になって、チームが他に売却される可能性がうわさされ始めている。

 中国は唯一、レースに直接参加していない。しかし、中国人初のF1ドライバーである周冠宇(ジョウ・グアンユー)選手の存在感は大きく、母国のファッション誌の表紙を飾ることも多い。

 2023年春のF1中国グランプリは、新型コロナがまだ収まる状態ではなかったため、開催されなかった。しかし、FIAは2024年のカレンダーに載せており、2024年の中国グランプリ開催は十分に可能性がある。

 このように、米国や中国という大きなマーケットでのビジネスチャンスが期待される“F1ビジネス”だが、インターネット上では、2023年にF1をサポートする日本企業は、部品供給も含めて前年2社減の10社にとどまるともいわれている。しかも、エンジンを供給するホンダとホイールを供給するBBS、マクラーレンとIT技術契約を結ぶNTTデータを除き、「車体」へのロゴ露出はないようだ。

 例外的にサポートしているのは、かつて複数のF1ドライバーに供給していたアライヘルメットだ。この分野も徐々に海外メーカーが各ドライバーと契約するようになり、現在は角田裕毅選手のみに製品を供給し、テレビ中継やインターネット上でアライのロゴをなんとか見ることができる。

 前述のホイールメーカーBBSもドイツに本社があるため、ホンダ、NTTデータを除けば日本企業の存在感は皆無といえるだろう。

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