世界放映権は3000億円レベル 日本だけが取り残されそうな「F1ビジネス」の知られざる可能性
コロナ禍後、2023年上期は円安で好決算を出す日本企業が続出した。筆者は、グローバルな視点から “F1ビジネス”の可能性を見直す時期に来ていると提言したい。いったいなぜか。
“F1ビジネス”の新たな地平

かつてF1にタイヤを供給していたブリヂストンの石橋秀一最高経営責任者(CEO)は、現在公開されている動画のなかで、欧州のプレミアム自動車メーカーから“仲間”として認められるためにはF1に参戦する必要があったと振り返っている。
しかし現在、F1関与によるビジネスの拡大は、決して自動車業界に限ったことではないようだ。あえていえば、先進的でプレミアムなグローバルビジネスの“仲間”とされるための必要条件なのだろうか。
今世紀初頭、米国でのF1人気は盛り上がらず、リーマンショックによってホンダ、トヨタ、そして数年後にはブリヂストンも撤退した。しかし、2019年にスタートしたネットフリックスのドキュメンタリーシリーズ「Drive to Survive(原題)」が引き金となり、米国での人気が急速に復活。同国では長年、フォードとグッドイヤーが参戦していた。あっという間に2023年から年間3レースが開催されることになった。
この人気を受けて、ハリウッドでは大ヒット作「トップガン マーヴェリック」のスタッフがブラッド・ピット主演の映画を準備中で、今シーズンはF1の現場で撮影が行われている。