「退職金の前払い」で給与アップ! 九州産交バスなどが業界初の取り組み、人手不足解消につながるか
九州産交バスと産交バスが10月24日、バス運転手が人生設計に応じて賃金制度を選択することができる新たな施策を導入したと発表した。
報酬を上げていくことは必須

日本人の平均年収は約420万円であるが、その中で運送業界全体の平均年収は300万円~450万円程度でけして高い水準とはいえない。
そこで、運輸業界のなかに、賃上げを行うことで少しでも採用力を高めていくことが必要になっている。他業界でも、大企業を中心に政府の要請やインフレの状態に呼応するように、本年度5%程度の賃上げを行った企業が多くあった。
しかし、運輸業界ではそう簡単にはいかない。記憶に新しいところでも金剛自動車(大阪府富田林市)のバス事業廃止があったように、赤字経営などそもそも経営の苦しい会社が賃上げを行うことは非常に困難なことだ。
単純に賃金を上げろといわれてもどこからその費用を捻出すればよいのか――。
毎月の給与に上乗せする「賃上げ」

そこへ、業界初の取り組みとして、待遇面の改善で担い手確保につなげるために、九州産交バス(熊本市)と産交バス(同)が2023年10月24日、バス運転手が人生設計に応じて賃金制度を選択することができる新たな施策を導入したと発表した。
九州産交バスは
「運転手の待遇は他産業に比べてよいとはいえない。少しでも働きやすい環境を整え、人材確保に努めたい」
としている。
10月以降に採用する運転手を対象とし、従来の退職時に退職金を支払う制度以外の選択肢として、退職金の代わりに毎月の給与に手当を上乗せする
「退職金なし賃金制度」
を設けた。
金額は年齢によって異なり、月額1万5000~2万5000円。入社時にどちらの制度を使うか選ぶという。「未来」の退職金を「現在」の賃上げの原資としたのだ。