昭和レトロな「アーケード商店街」を復活させるためには何が必要か
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日本のアーケード街の多くは、昭和の高度成長期に完成した。当時としては革新的であり、多くの商店街が導入を競った。しかし、現在はシャッターを閉めたままの店が多く、昼間でも薄暗い商店街も少なくない。
アーケードの存続利点

アーケード商店街は時代遅れで、時代にそぐわない過去の産物なのだろうか。答えは決してそうではない。
千葉県柏市の中心商店街である柏二番街は、アーケードの改修を成功させた例のひとつである。柏二番街は1974(昭和49)年に初めてアーケードを導入し、1995(平成7)年にはその建て替えを実施。2004年にはアーケードの延長も行われた。
このアーケードの整備には高額なコストがかかった。建て替えや延長に要した総額は約7億3000万円で、そのうち約5億3000万円は補助金や助成金によるものであった。
しかしながら、商店街にとっての負担も軽くはなかった。年間のメンテナンス費用は約1200万円に上り、商店街の予算の3割を占めている。この投資の成果はどうだったのか。日本建築学会の報告集に掲載されている築根広明・北原理雄の研究「商店街における全蓋式アーケードのコストと利点~千葉県柏市・柏二番街を事例に~」(『日本建築学会技術報告集』第16巻23号)は以下のような指摘をしている。
・歩行者の通行量は高い水準を維持しているが、雨の日の通行量が必ずしも増えるわけではない
・組織面では、高額なコストの影響で、商店街組合員間の連携や協力関係が強まり、商店街の積極的な予算編成も見られるようになった
・空間面では、建て替え時に新築・リニューアルされた店舗や、各店の掲示物などの影響で、新たに形成された空間が維持・向上され、そのためのまちづくり協定も制定された
これらの情報から、アーケードを撤去することが必ずしも最善の選択ではないことが理解できる。