「線路侵入」「路上駐車」 ネットで嫌われまくる“撮り鉄”がイメージ回復にやるべきこととは

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立ち入り禁止の鉄道用地に侵入してカメラを構えたり、撮影に邪魔だからと樹木を勝手に伐採したり、「撮り鉄」の評判がとても悪い。今回はどうすれば鉄道撮影を「社会的で持続的な存在」にできるか、考える。

迷惑駐車と危険な「追っかけ撮影」

伯備線(画像:写真AC)
伯備線(画像:写真AC)

 撮り鉄の問題のひとつとして、特定の撮影場所への過度な集中を挙げた。これはSLブームの時代に既に見られたことだが、現在は大きく異なる要素がある。それが車を利用しての撮影が普及したことだ。撮り鉄が集中するということは、いい換えれば、

「撮影場所周辺に車があふれる」

ことを意味する。しかも、大抵は路上駐車である。

 これは、周辺住民にとって実害だ。生活道路がふさがれ、通勤や買い物などの車の出し入れに支障を来すし、徒歩の人にも危険がともなう。農地の近く(いい撮影場所は大抵、田んぼや畑の近くにある)ならば農耕車の妨げになるし、積雪のある場合は、ただでさえ雪で狭くなった道路を車でより狭めてしまうことになる。除雪の邪魔にもなる。

 こうした例は近年、国鉄型の車両が走るJR伯備(はくび)線や、えちごトキめき鉄道などの沿線で指摘されている。ほかの地域だが、農地への侵入も相まって地主の逆鱗(げきりん)に触れ、撮影禁止の立て札が立てられてしまった場所もある。自分の首を絞めてしまっているのだ。

 さらに、目当ての列車を車で追い抜き、複数回撮影する「追っかけ撮影」も問題だ。生活道路でスピードを出せば非常に危ない。SLなどのイベント列車が運行される場合は、地元の警察がパトカーで警戒しているケースも多い。こんなところからも、撮り鉄がいかに迷惑がられているかがわかるだろう。

自治体などによる共存の取り組みも

津和野大橋を渡るSLやまぐち号(画像:写真AC)
津和野大橋を渡るSLやまぐち号(画像:写真AC)

 目当ての列車の撮影が終われば車で立ち去ってしまう撮り鉄と、地元の人たちとは、なかなか共感できない。それでも、何とかいい関係を築こうと試みる動きもある。

 そのひとつが、「SLやまぐち号」が走るJR山口線の沿線だ。島根県の南西に位置する津和野町は、撮り鉄のために駐車場を提供したり、休耕田を撮影スポットとして開放したりしている。

 また、災害で不通になっていた区間が2022年10月に復旧し、「絶景鉄道」として海外にも名高いJR只見線の沿線でも、鉄橋を見下ろす撮影スポットへの階段を設けたり、撮影の邪魔になる枝を払ったりという整備を行っている。

 いずれも、撮り鉄を

「観光客」

と捉え、共存しようという意図がある。期待に応える意味でも、できるだけその地域で買い物や食事し、地域経済に貢献することで「歓迎すべき存在」を目指したい。

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