「線路侵入」「路上駐車」 ネットで嫌われまくる“撮り鉄”がイメージ回復にやるべきこととは
立ち入り禁止の鉄道用地に侵入してカメラを構えたり、撮影に邪魔だからと樹木を勝手に伐採したり、「撮り鉄」の評判がとても悪い。今回はどうすれば鉄道撮影を「社会的で持続的な存在」にできるか、考える。
拡散される迷惑行為の数々

もちろん、遠くへ行くことは要件ではない。身近な通勤通学路線であっても、ふとした瞬間にドラマがある。例えば線路の上に入道雲が出ていたり、冬の斜光が電車の車体を黄金色に染めていたり。日常は、ふとした瞬間に非日常に転じるのだ。いうまでもなく、好きな形式の車両に出合えた瞬間は、状況を問わずうれしい。
けれども、そういう撮り鉄の喜びは社会にうまく伝わっていない。駅のホームの先端に密集した姿や、撮影地の取り合いを巡って罵声を浴びせ合う小競り合いなど、迷惑行為の場面ばかりが拡散されている。それらの映像が、線路侵入による運行妨害や樹木の伐採といった違法行為と重なり、撮り鉄は
「ルールもマナーも守れない連中」
だと解釈されつつある。豊かで詩的な情景に出合える趣味なのに、もったいないことである。
実は、撮り鉄の行動を巡る議論の歴史は長い。1970~1980年代には、趣味誌が年少ファンを対象に撮影マナーを教える特集を組んだこともある。当時は現役の蒸気機関車が引退しつつあった「SLブーム」から、寝台特急の人気が高まった「ブルートレインブーム」にかけての時代で、駅や沿線には大勢のファンが集まっていた。
現在も同様の状況がある。SNSで拡散された「傑作」をまねようと、その作品が撮影された場所をネット上の地図の航空写真などで特定し、撮影者が押しかけ、ときには地元の人たちに迷惑をかけている。
「特定の撮影場所への過度な集中」
が、問題のひとつといえる。