悪質な「撮り鉄」はなぜ増えたのか? 通行者への止まない罵倒、時代の進化が生んだ怪物と古参ファンの良心
一部の無法者によるイメージ悪化
「撮り鉄」のトラブルは絶えない。
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撮り鉄とは、鉄道写真を撮影して楽しむファンのことだ。かつては、他人の口づてに語られるような目立たない存在だったが、SNSや動画投稿サイトの普及で、広く知られるようになった。ただ残念ながら、近年はマナーのない一部の撮り鉄による悪質行為が特に拡散されている。筆者(昼間たかし、ルポライター)はあえていいたい。「ふざけるな」と。
インターネット上には
・駅員
・カメラにたまたま写り込んだ人/自動車
に対して罵声を浴びせる彼らの動画が、いくつもアップロードされている。
悪質行為が可視化されるようになったにもかかわらず、なぜ撮り鉄の悪質行為はなくならないのか。もちろん、このようなやからが一部の一部の、そのまた一部であることは知っているし、筆者が交流を持つ鉄道ファンには皆無だ。むしろ、彼らは普段「堅い職業」に就いていて、とても礼儀正しい人が多い。だからこそ、インターネット上で
「撮り鉄 = 無法者」
という意識が共有されるのには違和感しかない。もう一度いわせてもらう。ふざけるな。この記事を読んでいるであろう、穏健な撮り鉄の皆さんも同じ思いに違いない。なぜわれわれまで、一緒くたにされなければならないのか――と。
「撮り鉄 トラブル」で新聞DBを検索
さて実際、撮り鉄による悪質行為はどのくらい存在するのか? 新聞記事のデータベースを使って「撮り鉄 トラブル」で検索してみると、
「225件」
もの記事が出てきた。
もちろん、データベースは全記事を網羅しているわけではないが、最も古い記事は『朝日新聞』2009年3月14日付に掲載された
「「撮り鉄」節度を 踏切侵入、はねられ死亡…目立つマナー違反 JR、対策に躍起」
だった。
同記事は、この年のダイヤ改正で廃止されることになった寝台特急「富士・はやぶさ」のラストランで約3000人が東京駅に押し寄せ、マナー違反で大混乱したという内容だ。記事中では、2008(平成20)年に神奈川県茅ヶ崎市の東海道線でブルートレインを撮影していた撮り鉄が、倒れた三脚を立て直そうとして通過中の貨物列車に頭をぶつけて死亡した事故を受け、ラストランで厳重な警備が実施されたと記されている。