首都圏に「大型物流施設」続々オープン 一般人も知るべき多大な“地元メリット”をご存じか

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近年、物流施設の開発が活況を呈している。コロナ禍で店舗やオフィス開発が停滞したのに対し、物流施設は特に首都圏を中心に大型施設の開設が相次いでいる。いったいなぜか。

在庫削減からの転換で価値増す物流施設

蔵のある風景(画像:写真AC)
蔵のある風景(画像:写真AC)

 かつて「自宅に蔵(くら)がある」というのが富裕層の象徴だった。

 酒田市(山形県)など倉庫街で知られる街は全国に数多いが、いずれも豊かさを誇った地域ばかりである。これはかつて、ペーパーマネーよりも実物に価値があった時代があり、モノを保管する蔵が財産を保全する主要な手段だったからである。

 そのような時代はいつしか反転し、特にバブル崩壊以降、多くの企業が「在庫削減」に力を入れるようになった。その理由のひとつは、経済が停滞しモノが売れなくなったことで不良在庫のリスクが増えたことである。

 また、デフレ経済による影響も指摘できる。「モノの値段が下がる」というのがデフレの定義だが、日本で長く続いたデフレ経済下では、在庫保有自体が経営上のリスクになったのであり、そのような状況では各社とも在庫削減に取り組まざるを得なかったともいえる。

 このような在庫へのネガティブな見方が長く続いたのだが、近年では、進みすぎた在庫削減によるリスクがむしろ問題視されてきつつある。

 その典型がコロナ禍で露呈したマスク不足などである。コロナ禍で直面したのは、生活必需品の国内生産能力が少なく、在庫も極めて少ないという事実である。半導体の逼迫によってエアコンや温水洗浄便座の納品ができないといった影響も、多くの日本国民にとって想定外の事態であっただろう。

 冒頭で、物流施設は「モノを保管するだけの施設」ではないということを述べたが、このようなことを鑑みると、物流施設におけるモノの保管という機能が、今後は見直されるべきだとも思われる。

 前述のとおり「蔵 = 倉庫」が豊かさの象徴であったような時代があったわけだが、物流施設が経済の豊かさにつながるような時代へと転換しつつあるのかもしれない

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