「転勤」はもはや時代遅れ? 終身雇用崩壊で露呈したモーレツ社員のホンネ、リモワ普及でとどめ刺された昭和・平成の残渣とは

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高度成長期以降、日本では企業が社員に転勤を命ずるのが当たり前だった。しかし、状況は大きく変わった。これまでを振り返る。

終身雇用・年功序列崩壊後の変化

新幹線(画像:写真AC)
新幹線(画像:写真AC)

『週刊文春』(1975年4月23日号)は、このような状況を取り上げ、サラリーマンが株主優待券を手に入れ、涙ぐましい努力で経費を削減する姿を記録している。それでも、転勤を繰り返して家族に迷惑をかけるよりはましだと考える人が多かった。

 週末のターミナル駅や空港は、こうした単身赴任者の送迎でいつも混雑していた。しかし、たとえそれが雇用の維持や出世のためであったとしても、苦痛であることに変わりはない。1981(昭和56)年3月29日号の『週刊読売』に掲載された金曜深夜の東京駅でのルポにはこう書かれている。

「この新幹線に乗るたびに、情けないやら、侘びしいやら、疲れがドッと出てきます。この列車に乗る人はみんな私みたいな人だから、なおさらいやになります(中略)単身赴任者専用列車ともいえる「ひかり98号」から降りてきた乗客には、共通した光景がある。疲労感がにじみ、服装一つとっても、みんな似ている」

 21世紀に入り、転勤を受け入れる理由となっていた終身雇用や年功序列が崩壊すると、転勤は加速度的に避けられるようになった。

 2015年に中央大学ワーク・ライフ・バランス&多様性推進・研究プロジェクトが2015年に実施した調査結果によると、30~49歳の会社員のうち、男性の42.7%、女性の57.5%が転勤を希望していないという。

 この頃から、転勤を打診された若手社員が退職を申し出たという記事がメディアで相次いだ。転勤が多い企業は、それだけで“ブラック企業”とみなされるようになった。

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