JR東海の名作CM「クリスマス・エクスプレス」が忘れられない! 駅を巡る淡き恋の物語、あの“牧瀬スマイル”をもう一度

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クリスマスイブが、「恋人たちの聖夜」として脚光を浴びるようになったのは1980年代だ。とりわけ1988年ブは盛り上がりを見せた。

「聖夜」伝説は1980年代から

のJR東海「クリスマス・エクスプレス」CM(画像:JR東海、日本映画専門チャンネルホームページ)
のJR東海「クリスマス・エクスプレス」CM(画像:JR東海、日本映画専門チャンネルホームページ)

 12月24日のクリスマスイブが、「恋人たちの聖夜」として脚光を浴びるようになったのは1980年代だ。とりわけ、バブル景気の真っただ中だった1988(昭和63)年のクリスマスイブは土曜日だったこともあり、特に盛り上がりを見せた。

 当時の過ごし方の定番は、ホテルでまずディナーを楽しんだ後、ふたりで宿泊する――だった。この年は、9月時点でホテル予約が満了するケースも出たことがメディアに報じられ、「聖夜」のイメージが決定づけられた。

 このイメージをさらに全国へと広めたのが、1989(平成元)年からJR東海が始めたCM「クリスマス・エクスプレス」だった。

 発端となったのは、同社が1987年から始めたCM「シンデレラ・エクスプレス」だ。21時ちょうどに東京駅14番線ホームから出発する東京発新大阪行きの最終列車「ひかり289号」を使ったCMは、国鉄分割民営化で発足したばかりのJR東海が、その知名度をアップさせるために始めた宣伝戦略だった。

“イメージ重視”のCMを狙ったJR東海

エスカレーターを降りる女性(画像:写真AC)
エスカレーターを降りる女性(画像:写真AC)

 このCMが好評だったため、1988年の「ホームタウン・エクスプレス X’mas編(深津絵里が出演)」を経て、JR東海は1989年に「クリスマス・エクスプレス」を始めた。いまや定番曲となった山下達郎の『クリスマス・イブ』が流れるなか、故郷に帰ってくる恋人を迎えようと駅に急ぐのは当時17歳の牧瀬里穂で、キャッチフレーズは

「ジングルベルを鳴らすのは帰ってくるあなたです」

だった。

 このCMはさらなる反響を呼び、翌年以降、

・高橋里奈
・溝渕美穂
・吉本多香美

と、旬の女優を迎えて連作された。これらの“イメージ重視”のCMは大いにウケた。なぜなら、当時の同業他社のCMはもっと“即物的”だったからだ。

 例えば、JR東日本は1990年から、翌年の

・成田エクスプレス開通
・東北/上越新幹線の東京駅乗り入れ

などの新企画を前に、小泉今日子を起用してCMを展開していた。そのCMのキャッチフレーズは

「ジャンジャカジャーン」(それまでは「もっと、もっと」だった)

だった。通勤通学で鉄道を毎日利用している乗客がターゲットだったこともあり、“イメージ重視”ではなく“即物的”がいい、というのが当時のJR東日本の戦略だった。まったくもって対称的だったが、どちらが印象に残ったのかは、言うまでもないだろう。

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