「転勤」はもはや時代遅れ? 終身雇用崩壊で露呈したモーレツ社員のホンネ、リモワ普及でとどめ刺された昭和・平成の残渣とは
高度成長期以降、日本では企業が社員に転勤を命ずるのが当たり前だった。しかし、状況は大きく変わった。これまでを振り返る。
1970年代に増えた単身赴任者

同時に、企業は人材育成のプロセスに転勤を組み込むようになった。
例えば、金融機関では、入社後に地方支店に社員を派遣し、10年程度の間に3~4回の転勤を経て経験を積ませ、本社に復帰させるのが一般的だった。
製造業でも、最初は地方の工場で仕事を経験するのが一般的だった。社員はいったん本社に戻り、また支店で管理職を務めて出世。社員にとって転勤は当たり前のことだった。
しかし、雇用の維持や出世の代償とはいえ、サラリーマンにとって転勤は負担だった。もちろん、引っ越し費用は会社が負担する。しかし、子どもの転校などの費用を負担してくれる会社は少なかった。マイホームや子どもの進学など、人生設計への影響も大きかった。
その結果、子どもがある程度大きくなってから、家族を置いて単身赴任するサラリーマンが増えていった。明確な統計は見つからなかったが、新聞や週刊誌の記事から類推する限り、1970年代に入ってから単身赴任者が増えたようだ。