テスラが「航続可能距離」を水増し? ロイターが7月下旬報道、公式見解ナシで結局何だったのか

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2023年7月27日、ロイターは衝撃的なリポートを発表した。それはテスラが自社の製品である電気自動車(EV)に対して行っていた不正行為疑惑についてだ。

ユーザー側にも問題あり

2023年3月30日、高陽市のKINTEX展示場で行われた「2023ソウルモビリティショー」のプレスプレビューで、テスラモデルXを眺める来場者(画像:AFP=時事)
2023年3月30日、高陽市のKINTEX展示場で行われた「2023ソウルモビリティショー」のプレスプレビューで、テスラモデルXを眺める来場者(画像:AFP=時事)

 これらに関しては、計測条件や電池の劣化度なども含めてもう少し考察を重ねる必要がある。そもそもEVの走行可能距離とは全ての環境条件下で一定であるわけではない。ダッシュボードに表示される走行可能距離はあくまで目安である。

 EVに使用されているリチウムイオン電池は、一般に周辺環境の熱にその性能が影響される。これは同じくリチウムイオン電池を使っているスマートフォンやカメラを通じて実感している人も多いだろう。

 リチウムイオン電池には理想的な動作温度があり、それを大幅に上回ったり下回ったりするとその性能は急激に悪化する。EVの場合もこれは基本的には同じであり、だからこそ自動車メーカーはバッテリーの冷却や保温に多くのコストを掛けている。

 ちなみにロイターのリポートに登場した走行可能距離不足についてクレームを入れたある人物の場合、

「周辺環境が寒いとき」

という断りを付け加えている。原因はある意味明確だったというわけである。

 テスラに限らず、EVの走行可能距離とはその計器上の表示は別として現実には刻々と変化している。こうした事実について、メーカー側の説明は十分だといえるのか。そもそも説明不足ではないのか。

 そしてユーザー側も、単なるアルゴリズムを経た推定表示にすぎない走行可能距離を過信してはいないか。

・自身の走行パターン
・これまでの充電回数/充電時間
・使用している周辺環境温度
・路面状況

考慮すべき条件はいくつもある。そして大方の走行可能距離は推測できるのではないか。問題はそんなところにある。

 冒頭に記した10年前のテスラの表示操作はほめられたことではない。過去のこととはいえ大問題である。しかしその後のユーザー側のクレーム指摘も、その多くで誤解が元だった。メーカー側とユーザー側、どちら側も

「あと少し賢く立ち回れば」

防ぐことができたトラブルに思える今回のニュースだった。

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