まずはテスラに追いつけ 「ギガキャスト採用」で見えてきた、トヨタ・ホンダの本気度、日本メーカーのEV転換は吉と出るか凶と出るか

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圧倒的な利益率で、日本メーカーを侵食するテスラ。ここにきて、トヨタとホンダが遅ればせながらテスラに習い、テスラを超えることを狙った新たな戦略が表面化してきた。

純利益でトヨタ超え

モデルS(画像:テスラ)
モデルS(画像:テスラ)

 2022年、テスラは136万9611台のグローバル生産台数を記録した、内訳は全てバッテリー式電気自動車(BEV)だ。車種はモデルS、モデルX、モデル3、モデルYの4種のみである。

 この生産台数は日本の自動車メーカーと比較して、マツダの2022年度グローバル生産台数である113万4982台を上回っている。すなわち、現時点で中堅自動車メーカーに成長したということだ。ちなみに2022年のトヨタのグローバル生産台数は1061万604台で、ホンダは387万161台だった。

 テスラは、少し前からその利益率の高さに注目が集まっていた。これはテスラが発表した2022年7~9月期決算での連結純利益が4542億円に達していたことがきっかけだった。実のところ、同時期のトヨタの連結純利益が4342億円であり、純利益ではテスラが

「トヨタを上回った」

のである。

 この時点でのトヨタの生産台数は、同じ期間でのテスラとの単純比較でおおむね8倍だった。すなわち、テスラの1台辺りの利益率は

「トヨタの8倍」

だったという評価だ。

 連結純利益の評価については、車両の生産台数を単純に比較すればよいわけではないが、テスラが相当に利益率の高いビジネスを展開していることは容易に理解できる。

テスラの利益率が高い理由

主要11か国と北欧3か国の合計販売台数と電気自動車(BEV/PHV/FCV)およびHVシェアの推移(画像:マークラインズ)
主要11か国と北欧3か国の合計販売台数と電気自動車(BEV/PHV/FCV)およびHVシェアの推移(画像:マークラインズ)

 テスラの利益率が高いのは理由がある。それらをシンプルに列記すると次のようなことが挙げられる。

1.BEVに特化している
2.車種が四つに抑えられている
3.基本構造と使用部品の共通化が徹底されている
4.車両設計においてパーツ数の削減を推し進めている
5.製造工程の単純化が図られている
6.ディーラーを介さないメーカー直販体制を取っている
7.初期投資を徹底しコストがかさむ社外サプライヤーへの依存を最小限に抑えている
8.市場の状況に合わせて販売価格の変更や生産モデルの整理等を迅速に実行している

など、ざっと考えただけでもこれだけ思い浮かぶ。おそらく深いところでは、もっと緻密な収益率向上策が実施されているはずである。

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