まるで高級ホテル? 「SA」「PA」のトイレが近年やたらとゴージャスになっているワケ
日本道路公団が民営化され、NEXCO中日本(愛知県名古屋市)が発足した。民営化によって、顧客サービスの見直し機運が高まった。その最重要項目のひとつが「トイレの美化・充実」だった。
トイレによるおもてなし精神

トイレ設備の充実では、混雑を避けるためにトイレの数を計算したり、個室の空き状況をエントランスに設置されたモニターで確認できたりするなど、ハード面の進化は目覚ましい。しかし、いくら機能が充実していても、トイレが清潔でなければ、人は近づきたくなくなり、次回からは利用しなくなる。利用者がストレスなくトイレを利用できるかどうかが最重要といえる。
NEXCO中日本では、清潔で快適なトイレを維持するため、「トイレおもてなしプロジェクト」としてトイレ環境の改善に取り組んでいる。
トイレを美しくするために、アメニティ(神奈川県横浜市)が導入した“トイレ診断士”によるトイレの総合診断を定期的に実施している。トイレ診断士は、トイレで起こりうるトラブルを未然に防ぎ、トイレを効率的かつ衛生的に維持・管理できる。
トイレ診断士は、見た目の汚れにとどまらず、臭気、換気、照度、湿度、不快指数など総合的に診断し、その結果を数値で示すことができる。エリアキャストはそのデータをもとに、汚れを蓄積させない清掃方法の指導を受け、清掃技術や作業効率の向上に努めている。エリアキャストは清掃だけに専念しているわけではない。マナー研修や接遇セミナーにも参加し、あいさつや気遣いなど接遇の基本を学び、コミュニケーション能力を高めている。
あるメディアの取材に対し、NEXCO中日本の担当者は
「キャスト全員がおもてなしの心とエリアの顔であるという意識を持ってもらうよう取り組んでいます」
と語っている。困ったときに助けてくれるキャストがいることで安心して利用できる。清潔な環境と安心、そしておもてなしの精神がここにはあるといえる。