高速道路はなぜ「無料化」されないのか? 有料期間あと92年という現実、背景にあった道路公団時代の巨大利権とある男の存在
5月、高速道路の有料期間が「最長2115年」まで延長された。今後、92年続くこととなる。その背景には何があるのか。昭和時代のある人物に焦点を当てて探る。
今後92年続く有料期間

いつかは無料に――。
高速道路の料金はそうした前提の下、これまで徴収されてきた。しかし、どうやら私たちが生きているうちには叶わなそうだ。
なぜなら、2023年5月に国会で成立した改正道路整備特別措置法と関連法で有料期間の延長が決まったためである。これまで2065年とされてきた期間は
「2115年」
まで延長された。実に92年後。2023年に生きる私たちにとって、92年前は
「1931(昭和6)年」
である。戦争時代の幕開けとなった満州事変が起こった年だ。
さて、当時の人たちは2023年がどのような時代になるかなど、想像できただろうか。できるわけがない。92年後とはそうした長さを持っているのだ。
無料化は“建前”

わざわざいうまでもないが、無料化は“建前”である。そんな“建前”が維持され続けるのは、ちゃんとした理由がある。それは、
「道路 = 公共財」
であり、無料化が原則になっているからだ。
料金の徴収は、あくまでもその建設費をまかなうためのもの、とされてきた。「永遠に有料道路である」とすれば、固定資産税の課税対象となるため、「いつかは無料に」という建前を放棄できないのである。
道路の
・車線拡張
・老朽化対策
など、無料化の阻害要因はさまざまだが、最大のネックは、
「収益の見込めない新しい高速道路」
が次々と建設されたことにある。そのたびに古い高速道路へ料金が上乗せされ、いつまでたっても建設費が完済されない状況が続いてきた。