「航空運賃」高すぎ問題 庶民の海外旅行はもはや遠き夢? 航空業界も人材不足・石油減産・脱炭素で同情必須の苛酷現実

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国際航空運賃は高止まりしている。コロナ以前は当たり前だった海外旅行も、今や遠き夢となりつつある。次々と路線が再開されるなか、いつまで続くのだろうか。

高止まる航空運賃

飛行機(画像:写真AC)
飛行機(画像:写真AC)

 新型コロナウイルス感染拡大は終息し、各国は入国制限を緩和した。そして日本各地の観光地にも多くの外国人観光客が見られるようになった。しかし、国際航空運賃は高止まりしている。コロナ以前は当たり前だった海外旅行も、いまや遠き夢となりつつある。次々と路線が再開されるなか、いつまで続くのだろうか。

 航空運賃の高止まりと円安が、日本人の海外旅行離れを引き起こしている。法務省入国管理局の速報値によると、2023年6月に日本を出国した日本人は70万3259人。前年同月と比較すると310%の増加だ。しかし、2019年と比較すると53.8%減少している。

 8月も回復は鈍かった。東京入国管理局成田空港支局によると、夏のピークシーズン(8月10日~20日)の成田空港の出入国者総数は80万2740人で、2019年比76%まで回復した。このうち日本人は31万7630人。これは20%以上の減少である。

 航空運賃はコロナ以前より平均して2~4割高くなっている。ヨーロッパは、航空運賃の高騰によって旅行が極めて困難になっている。航空券検索サイトで9月の東京~パリ間を検索してみると、カタール航空の往復乗り継ぎ1回で20万970円が最安値だった(乗り継ぎ3回、往路42時間45分、復路15万4898円の便も表示されたが、非現実的なため除外)。

 なお、エールフランスの直行便は往復21万3260円である。かつては、直行便より乗り継ぎ便の方が安いのが普通だった。特に時間のかかる中東系の航空会社がヨーロッパ行きの定番だった。直行便と乗り継ぎ便の価格差がほとんどなくなったことは、いかに乗り継ぎ便が高くなったかを物語っている。

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