若者の「海外旅行」を阻むものの正体 “お金がない”だけじゃない、その理由とは

キーワード :
,
「若者の車離れ」ならぬ、「若者の海外旅行離れ」が話題になってから随分と時間がたった。筆者が調べた限りで、最初に言及したメディアは総合経済紙『フジサンケイビジネスアイ』(2021年6月休刊)である。

「若者の海外旅行離れ」の発生時期

飛行機(画像:写真AC)
飛行機(画像:写真AC)

「若者の車離れ」ならぬ、「若者の海外旅行離れ」が話題になってから随分と時間がたった。筆者(小西マリア、フリーライター)が調べた限りで、最初に言及したメディアは総合経済紙『フジサンケイビジネスアイ』(2021年6月休刊)である。

 2007(平成19)年1月28日発売の同紙に掲載された「学生の海外旅行離れ 就活ブームで心にゆとり」という記事によると、日本人の海外旅行者数が増えている一方、若者の海外旅行者数が減少傾向にあることに触れている。16年前のことである。

「年齢層別で海外旅行者数が最も多かった若者(20~29歳)については、数年前から“海外旅行離れ”が指摘されている。(中略)実際、法務省の出入国管理統計をみると、若者の出国者数は1996年がピークで、462万9000人に達したが、その後は減少傾向が続いている。05年は308万8000人。ピーク時に比べ154万1000人、3割強も減少した計算だ」

 この時点で、若者の海外旅行離れはあまり注目されていなかったが、翌2008年になると、早急に解決すべき課題として多くのメディアが取り上げるようになっている。

 2008年6月8日付の東京新聞朝刊の特集記事「若者の海外離れ加速 所得低下、危険そう…96年比4割減 『旅行より飲み会や近場で遊ぶ』」と題し、若者の海外旅行離れの理由を探っている。

「海外旅行経験について、二十代数十人に聞いたところ、「経験あり」の人の大半は十代の家族旅行や修学旅行。「携帯電話代が月一万円以上かかる」など海外旅行用にお金を回す余裕がないとの声も多かった。日本旅行業協会北海道支部の佐々木幹人事務局長は、若者の海外旅行離れについては、景気回復の遅れによる所得低下が大きいとみる。ただ、「車を買わないなど、大きな消費を避け、飲み会や近場の旅行といった安心感が強いものに流れる内向き志向の広がりも、ブレーキになっている」と分析する」

「離れ」の原因に携帯電話料金の必要性、嗜好の多様化、所得の減少などを挙げている。

全てのコメントを見る