駅で食べる「立ち食いそば」は、なぜあんなにうまいのか? 経済目線で分析する【短期連載】令和立ち食いそばビジネス考(3)

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「駅で食べる立ち食いそばは、なぜあんなにもうまいのか?」という素朴な疑問を、定性的(数値化できない要素)な目線、定量的(数値化できる要素)な目線、経済的な目線から解き明かしていく。

集客の戦略的な取り組み

立ち食いそば(画像:写真AC)
立ち食いそば(画像:写真AC)

 駅構内という好立地にある駅の立ち食いそばであるが、決して安泰ではなく、ライバルが多い状況にはかわりない。飲食店だけでなく、コンビニやパン屋などあらゆる店舗が、乗降客の数%の来店を狙って、駅の外で待ち構えているのだ。

 先ほど取り上げた箱根そばの朝そば(400円)も、ライバルを意識したサービス価格だろう。通勤・通学の動線上にある駅内外の同業他社だけでなく、

・400円以下のメニューもある駅前の牛丼チェーン店の朝定食
・コンビニのホットコーヒーとパン
・喫茶店のモーニングセット

など、ライバルを挙げればきりがない。

 駅の立ち食いそばは、そばとつゆとトッピングで勝負しているため、ベースとなるそばやつゆの味を向上せざるをえない。最近になって、生そばを提供する店が増えてきたのも、製麺技術の向上もあるが、何より味を追求した結果だろう。

 もちろん、立ち食いそばはスピードも期待されており、よりおいしくなるからといって時間をかけすぎるわけにはいかない。味とスピードの両立は、駅の立ち食いそばの永遠課題かもしれない。

 このほか、

・立ち食いを好まない
・立ち食いが難しい

層に配慮した店舗づくりも、競争力を確保するには重要な要素だ。

・明るく清潔さを感じさせる内装
・テーブル席の設置
・冷水機やコップといった調度

などにも手が加えられている。ひび割れたうす紫のプラスチックのコップは、今や絶滅危惧種だろう。

 ライバルとの切磋琢磨(せっさたくま)により、駅の立ち食いそばは、今もなお味、サービス、店づくりと着実に進化しているといえる。

 しかしその一方で、多様性の源泉だった地域に根ざした店舗の閉店が相次ぎ、駅ごとの味から

「鉄道会社ごとの味」

に収束しつつある。この現象を、駅の立ち食いそばという文化の進化とみるか、衰退とみるか悩ましいところだ。

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