駅で食べる「立ち食いそば」は、なぜあんなにうまいのか? エモい目線で分析する【短期連載】令和立ち食いそばビジネス考(1)

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「駅で食べる立ち食いそばは、なぜあんなにもうまいのか?」という素朴な疑問を、定性的(数値化できない要素)な目線、定量的(数値化できる要素)な目線、経済的な目線から解き明かしていく。

三つの目線から分析

立ち食いそばのイメージ(画像:写真AC)
立ち食いそばのイメージ(画像:写真AC)

 通勤や旅行の合間に気軽に立ち寄れる、駅の立ち食いそば。ただおなかが満たされるだけでなく、目当てのそばに出会えたときには喜びを感じ、少し大げさかもしれないが疲れが吹き飛ぶこともあるだろう。

 味わい方や楽しみ方は人それぞれなのである。そこで、

「駅で食べる立ち食いそばは、なぜあんなにもうまいのか?」

という素朴な疑問を、

1.定性的(数値化できない要素)な目線
2.定量的(数値化できる要素)な目線
3.経済的な目線

から、全3回で解き明かしていく。

 はじめに、本記事では「立ち食いそば」に表記を統一する点について断っておきたい。というのも、駅の立ち食いそば店は、当然うどんも扱っており、なかには、“立ち食いうどん”と掲げている店舗もあるくらいだ。そのため、立ち食いそば・うどんと書くべきではないかという意見もあるだろう。そこは目をつぶってもらい、特に断りがないかぎり、そばとうどんの両方を含めて「立ち食いそば」と表記することをご了解いただきたい。

 第1回は「定性的な目線」についてであるが、実はそんな深い話ではなく、

・高揚感
・ノスタルジー

といったエモーショナルな感覚について話をしよう。

「うまい・まずい」を超越した存在

立ち食いそばの券売機のイメージ(画像:写真AC)
立ち食いそばの券売機のイメージ(画像:写真AC)

 都市部の駅、地方の駅、そのどちらであっても、決まった駅の立ち食いそばに立ち寄ることを日課としているヘビーユーザーにとって、立ち食いそばは

「うまい/まずい」

を超越しており、もはや主食といえる。

 あまり利用しない人にとっては、ホームで食べるという非日常的な感覚も味付けのひとつだろう。また、地方から都市部に出て食べる、あるいは都市部から地方に出て食べる駅の立ち食いそばは、仕事であれプライベートであれ、旅行という要素が加わることで、高揚感やドキドキ感が味付けとなる。

 このほか、駅の立ち食いそばは、店員さんとのやりとりも大切な要素となる。

・顔なじみの店員さんとの毎朝の何気ないあいさつ
・見知らぬ土地でのちょっとした会話

も、ただのそばをもうワンランク上のそばへと変える“魔法”といえよう。

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