駅で食べる「立ち食いそば」は、なぜあんなにうまいのか? 経済目線で分析する【短期連載】令和立ち食いそばビジネス考(3)

キーワード :
, ,
「駅で食べる立ち食いそばは、なぜあんなにもうまいのか?」という素朴な疑問を、定性的(数値化できない要素)な目線、定量的(数値化できる要素)な目線、経済的な目線から解き明かしていく。

徹底したコスト低減と回転率

厨房のイメージ(画像:写真AC)
厨房のイメージ(画像:写真AC)

 駅の立ち食いそばは、腰を据えてゆっくり食べるというより、

・通勤
・通学
・旅行

といった移動の際に利用されることを前提としており、手軽な価格帯で提供されることが一般的である。

 手頃な価格で提供するために、徹底したコスト管理がなされている。メニューをシンプルにすることで、材料費の低減だけでなく、調理やサービスに必要な時間の短縮にもつなげている。

 特に調理時間は回転率(1日どれだけの客をさばけるかの割合)に影響するため、立ち食いそばにとって重要な要素となる。ゆで麺と調理済みトッピングの組み合わせで、

・あっため&ほぐし:10秒
・つゆかけ&トッピング:10秒

の計20秒で提供できるとしよう。すると、1分あたり3人となり、平均客単価400円と仮定した場合、3×60×400で、1時間あたり

「7万2000円」

を売り上げられる。

 なかには、工夫をこらして10秒前後まで調理時間を短縮している店舗もあるだろう。ひと昔前の地方の特急・急行の停車駅の立ち食いそば店は、優等列車到着時が売り上げの勝負時間であり、列車が到着するたびに神業的に注文に応えて、もはや店員というより職人レベルの技術で回転率を支えていた。

 もちろん、回転率を上げる方法だけでは限界が訪れる。そこで重宝するのがトッピングだ。トッピングにより、立ち食いそばをワンランク上の料理に変身させるとともに、店舗の特徴や季節感を際立たせられる。さらには、「上にのっける」という単純さにより、

「回転率を維持したまま平均客単価を上げられる」

魔法のアイテムなのだ。

全てのコメントを見る