3連節バス「日本に合わない」は大間違い! 世界各地で大流行する納得の理由とは【連載】牧村和彦博士の移動×都市のDX最前線(14)

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欧米や南米などで2連節バスは珍しくない。しかし日本は導入が遅々と進まない。一体なぜなのか。

「日本で導入できない」は間違い

フランス・メッスの3連節バス(画像:牧村和彦)
フランス・メッスの3連節バス(画像:牧村和彦)

 ここまで読んだ人のなかには、このような長い車両は

「日本の窮屈な道路事情には不向きで走行できない」

と思われた人も多いのではないだろうか。

 メッスの旧市街地は日本同様に道路が窮屈であり、曲がりくねった路線を走行している。確かに3連節バスが運行する交差点の曲率には配慮が必要なものの、後輪がニーリング(バスの乗降時に乗降口側の車高を下げて乗り降りしやすくする機能)しながら、旧市街地をスイスイと走行している。

 メッスだけではなく、ハンブルグやイエテボリ、ジュネーブやチューリッヒをはじめ、さまざまな都市で3連節バスが窮屈な旧市街地を運行している。日本の道路が狭いから導入できないという理屈は成り立たないだろう。

 日本では、コロナが明けてオーバーツーリズム(観光公害)による路線バスの混雑や混雑で、乗車ができなかったり、乗車が制限されたりするといったニュースを連日耳にする。運転手不足が根本の理由であるものの、

「1台の車両で乗車できる輸送量」

には限りがあり、連節バスはその解決策の一助になることは確実だ。

 また、トラム構想はあるものの具体化が進まない地域、新たに都市の幹を再構築していく計画がある地域においては、運転手不足による輸送量を改善し、脱炭素化にも貢献しうる、人にやさしい3連節バスを選択肢として検討していく価値は大いにありそうだ。

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