2年半で死傷者1400人 英国の電動キックボード「事故リポート」から、日本が真剣に学ぶべきこととは【連載】牧村和彦博士の移動×都市のDX最前線(13)

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英国政府は2020年1月から2022年6月末までのあいだ、電動キックボード関連の死傷事故データを公開した。死亡事故は死亡者数に12人上っている。

世界は“小さい交通”ブーム

欧米ではマイクロモビリティ(小さい交通)ブームが続く。写真はヘルシンキ市内(画像:牧村和彦)
欧米ではマイクロモビリティ(小さい交通)ブームが続く。写真はヘルシンキ市内(画像:牧村和彦)

 2023年7月から電動キックボードの規制が一部緩和され、16歳以上の人は免許なしに一定の条件をクリアした車両を利用できるようになる。

 先行する欧米では、すでに都市部を中心に、数千台から数万台の電動キックボードのシェアリングサービスが普及している。フランスのように保有台数が共有サービスの台数を上回り、新車販売では自動車より電動キックボードが多くを販売している国もあるほどだ。世界はマイクロモビリティ(小さい交通)ブームである。

 モータリゼーションが始まった頃は“交通戦争”と呼ばれ、日本でも年間1万人を超える自動車の死亡事故が発生していたものの、現在は2000人台までに減少し、新しい交通手段の登場にはリスクがあることは歴史が証明している。

 世界で起きたマイクロモータリゼーションとも呼ぶ小さい交通ブームが、日本でも起きるかもしれない。交通環境や法制度などは異なるとはいえ、すでに先行している欧米から学べることは多くあると筆者(牧村和彦、モビリティデザイナー)は考えている。リスクを自ら知り、利用者はリスクを回避した安全な運転を心がけることが大切だろう。

 また、安全をつかさどる道路管理者や公安委員会は一層、

・安全な道路空間の確保
・デジタル時代に対応した安全マネジメント

が求められる。

 交通事業者はバス利用などの減少も諸外国では報告されていることから、公共交通機関とマイクロモビリティの共創を強く意識した、

「受け身ではない施策」

が今後重要だ。

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