3連節バス「日本に合わない」は大間違い! 世界各地で大流行する納得の理由とは【連載】牧村和彦博士の移動×都市のDX最前線(14)

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欧米や南米などで2連節バスは珍しくない。しかし日本は導入が遅々と進まない。一体なぜなのか。

崩れつつあるトラム・バスの「境界」

水平で乗降できるように配慮された停留所と幅広い扉のデザイン(画像:牧村和彦)
水平で乗降できるように配慮された停留所と幅広い扉のデザイン(画像:牧村和彦)

 また、3連節バスの床の高さと停留所の高さを同一としており、車いすの人やベビーカーの人も自走で人の介助なく乗降できるよう停留所は工夫され、ユニバーサルなデザインを強く意識したものだ。オレンジかグリーンの車両に乗車すれば、自宅の近くまで連れて行ってくれる、わかりやすさも大切だ。

 日本の地方都市に降り立ち、バスで移動しようにも、どの系統に乗ればよいか、非常に複雑な仕組みとなっている。一方で今や都市の景観のひとつともなっているメッスの3連節バスは、わかりやすさという意味でも大きい存在感が大きい。今や欧州では

「トラムとバスの境界」

が崩れつつあるといってよいだろう。

 日本で路線バスというと、ディーゼルエンジン駆動のイメージが強いのではないだろうか。一方、2030年には2019年比で温室効果ガス55%削減を目標としている欧州では、都市部から電動駆動やハイブリッド車両が急拡大している。

 単車や2連節バスだけではなく、先に紹介したメッスは2013年の時点ですでに電気とディーゼルのハイブリッドによる3連節バスを導入しているし、地方都市のフランス・ナントは、電動駆動による3連節バスが都市の幹線軸に導入され、くらしの足として浸透している。

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