欧州初のトライブリッド車両! あなたは「マサッチョ」を知っているか

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2023年6月、筆者はマサッチョの製造現場である同社ピストイア工場を取材、製造中の様子から、完成車両のデモンストレーション走行まで見学した。そこで見たものとは。

ひときわ目を引く日立製車両

編成として組み上げられ最終検査を待つ「マサッチョ」HTR412型。トレニタリアでは「ブルース」という愛称で親しまれる(画像:橋爪智之)
編成として組み上げられ最終検査を待つ「マサッチョ」HTR412型。トレニタリアでは「ブルース」という愛称で親しまれる(画像:橋爪智之)

 2022年9月、2年おきに開催される世界最大の鉄道見本市「イノトランス」。実物の車両を展示できるのが、この見本市最大の特徴で、毎回200両近い車両が出展される。ここ数年は、環境問題が大きくクローズアップされ、展示車両の多くは環境を意識したものだった。

 そのなかに、日本の日立製の車両も展示されていた。白い車体に青と緑のストライプ、シャープで斬新なデザインは、会場でひときわ目を引いた。

 日立が展示したこの車両は「Masaccio(マサッチョ)」という製品名で、動力源に電気とディーゼル、それにバッテリーを加えた

「トライブリッド車両」

で、電化区間はパンタグラフを上げて電車として走行し、非電化区間ではバッテリーをメインに、不足した電力分をディーゼルで補うというものだ。

 日本国内では、BEC819系やEV-E301系など、すでにバッテリーを動力源とした車両が運行を行っているが、欧州市場では初の営業用バッテリー駆動車両として、イノトランス終了後の2022年秋から徐々に投入が始まった。

 最初の顧客はイタリアの旅客運行会社トレニタリアで、日立製作所のグループ会社で、マサッチョの製造を行った日立レールの地元でもある。日立レールは、トレニタリアからオプション契約を含む135本を受注しており、2023年6月現在ですでに20本が納入されている。

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