欧州初のトライブリッド車両! あなたは「マサッチョ」を知っているか

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2023年6月、筆者はマサッチョの製造現場である同社ピストイア工場を取材、製造中の様子から、完成車両のデモンストレーション走行まで見学した。そこで見たものとは。

壁高き水素燃料

車体の組み立てと塗装が完了したマサッチョのボディ(画像:橋爪智之)
車体の組み立てと塗装が完了したマサッチョのボディ(画像:橋爪智之)

 だが、それならば昨今話題となっている水素燃料の方が、より環境に良いとは言えないのだろうか。

 日立製作所は、水素燃料の研究も行っているが、マサッチョでは採用を見送っている。排出されるのは水だけ、という夢のような燃料と言える水素だが、その製造方法をご存じだろうか。

 水素の製造工程で、石炭や天然ガスなど化石燃料をベースに作られるもの(改質法)は生成の際に燃焼させるため、二酸化炭素が排出される。これらを回収し再利用する方法も研究されているが、実用化するためにはまだ時間が掛かるだろう。

 太陽光や風力による発電によって得られた電力で、水を電解して作る方法(電解法)が限りなく二酸化炭素の排出を0に抑えられ理想的だが、大量の電力を必要とする。結局、現時点で水素の生成は本末転倒のような状況で、安定的な供給が行われているとは言い難い状況だ。

 日立は、現時点では

「バッテリー + ディーゼル」

が最適解と判断し、現在は航続距離100km程度の強力なバッテリーを開発中だ。いずれはイタリアのローカル線、さらには欧州各国を、このマサッチョが走り回る日が来ることを願ってやまない。

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