オール中国に屈した「日本の鉄道」 ジャカルタ・バンドン高速鉄道「350km達成」が示した埋められぬ実力差、中古車両も購入禁止で今後どうなる

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ジャカルタ~バンドン高速鉄道は6月22日、試運転列車の最高速度が356km/hに達したと発表した。また、走行時の安定性、静寂性も改めて証明された。

他国にはまねのできない中国体制

中国水利水電建設集団が保有する保線機材(画像:高木聡)
中国水利水電建設集団が保有する保線機材(画像:高木聡)

 ジャカルタ~バンドン高速鉄道の建設にあたり、特に軌道・信号・通信、車両に関しては、中国で使われているものと全く同じ製品がそのまま持ち込まれている。だからゼロから設計する必要がなく、コストダウンが図られ、納期が早い。建設用機材も中国国内の新線建設で使っているものをそのまま持ち込んでいる。

 完成後はまた本国か、第三国に移り、別のプロジェクトで使うことになる。直近では、中国の支援で建設されるハンガリー・セルビア鉄道の現場にも、インドネシアで使われているものと全く同じ、

・DF4型機関車
・連続レール敷設機材
・保線機材
・軌道検測車

などが持ち込まれているのを見ることができる。

 しかも、ジャカルタ~バンドン高速鉄道では、2023年8月の開業に間に合わせるためか、追加でも機材が続々と持ち込まれており、全て合わせると数十両規模の陣容となっていることも特筆される。

「不足すれば、いつでも本国から持ち込める」

という体制は、他国には絶対にまねのできないことである。

 レール敷設機材が大破してもなお、1週間後には既に工事を再開していたというのは、このような背景にちなむ。世界一の鉄道大国たる中国の絶対的強さを見せつけられた。

 もしも、日本が受注していた場合、このような機材も、入札、そしてゼロからの設計となる。しかも、このような機材メーカーは国内に数社しか存在せず、「一点もの」となる海外案件に対応できるほどのキャパシティーを持ち合わせているとはいいがたい。

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