リニア「2027年開業」はもはや絶望的 静岡県が強硬に反対しているワケとは
静岡県・川勝知事の反発
リニア中央新幹線(以下、リニア新幹線)の工事を巡り、静岡県の川勝平太知事が9月22日の定例会見で「早期開業が出来ない責任は神奈川県にある」と主張した。川勝知事が指摘したのは、開業に必要不可欠な関東車両基地の用地買収が進んでいない問題である。これをもとに「神奈川県のせいで2027年に開業できない」とのことだ。
リニア新幹線の関東車両基地とはどのようなものか。基地は相模原市緑区鳥屋に建設が進められており、面積は約80ha。この基地の建設計画が示されたのは、2013年9月のことだ。
平坦地が確保されることから車両基地建設が進められた同地だが、本来は「自然環境保全地域」である。自然環境保全地域は自然環境保全法によって定められており、建築物の建設や土地の造成に許可・届け出が必要とされている。本来は自然保護のために開発が抑制されているため、計画が持ち上がった時点から賛否が分かれた。
この計画は、橋本駅の南側に位置する相模原高校(相模原市中央区)の地下にリニア新幹線の駅を設置する計画と同時に発表された。そのため、神奈川県の黒岩祐治知事を始め、リニア新幹線を誘致してきた住民や企業からは歓迎された。一方で、水資源に影響を与えることなども懸念された。
計画が具体化した2014年には、車両基地が建設される相模原市の鳥屋地区で説明会が開催され、計画地である鳥屋の谷戸地区にある約40世帯の集落に移転を求めることが明らかになった。
このとき、JR東海は代替地を確保した上で、個別交渉で用地買収を進めることを明らかにしている。これに対して、2014年2月には鳥屋地区の住民がJR東海や行政との交渉窓口として「リニア車両基地対策委員会」を発足した。結果、JR東海が車両基地に見学施設を設けないことについて
「地域が分断されるのに、地元のメリットが全くない」
と反発する声が上がるなど、既にあつれきが見られた。