「日本の鉄道」はもはや途上国レベル? 国鉄解体の功罪、鉄路・技術も分断され インフラ輸出の前途も暗い現実
「日本の鉄道は世界一」なんて本当か
2022年の夏も、いくつかの鉄道路線が豪雨災害等で被災した。そして、これらが果たして「鉄道」として復旧されるのかと言えば、かなり雲行きが怪しい。
災害を理由に鉄道が復活せず、そのまま廃線となることが今や一般化しつつある。地球温暖化を背景にした異常気象により、被害が甚大化しているという面も否めないが、それ以上に、過疎化の進行、利用者の減少で、鉄道というインフラが時代にそぐわないものになってしまったという方が大きいだろう。
しかし、一方で、国はいまだに
「日本の鉄道は世界一だ」
「鉄道大国だ」
などとのたまっている。
災害の度に鉄路が失われていく状況だけを見れば、発展途上国レベル、いや、それ以下と言っても過言ではない。そんな状況で、よくも日本の鉄道システムを世界に輸出しようなどと言えたものだ。
もっとも、日本の鉄道が基本的に独立採算を前提にしている以上、費用対効果を考えれば仕方のないことではあるが、さかのぼれば、国鉄民営化以来、いわゆるローカル線区を中心とした在来線に投資がなされず、開業以来の古い遺構を使い続ける災害に弱いインフラになり果ててしまった。
筆者(高木聡、アジアン鉄道ライター)は国鉄解体そのものを批判しているわけではなく、解体自体は
「必要だった」
と考えている。問題は、分割民営化のやり方だ。
結果、国土の骨格たる鉄路を守ることができなかった。地域ごとに鉄路は分断され、整備新幹線開業による並行在来線化でそれはますます顕著になっている。災害が起きずとも、既に日本の鉄道はズタズタだ。
一見、線路はつながっているように見えても、JR各社のみならず、最近は路線ごとに別々の信号やオペレーションのシステムを有し、国鉄型車両が減少し、各社独自設計のものが増えた結果、各線を相互に乗り入れることも難しくなりつつある。そして、このことは鉄道システムの海外輸出に対しても悪影響を及ぼしている。