オール中国に屈した「日本の鉄道」 ジャカルタ・バンドン高速鉄道「350km達成」が示した埋められぬ実力差、中古車両も購入禁止で今後どうなる
独立記念日のソフト開業はほぼ確

さて、現在、運輸省は第三者機関としてヨーロッパの複数の鉄道コンサルに委託し、営業運転開始に向けた安全性等の最終確認を行っている。運輸大臣は
「遅くとも10月1日までに運行許可を与える予定、しかし、8月に前倒しになる可能性もある」
と同時に発言している。
ただ、これは商用営業を始めるのに必要な許認可であり、招待客に限って無料で運行を行うソフト営業期間には不要である。準備が整い次第、早ければ7月にも無料運行を始めるともKCICは発表しており、運輸大臣もこれに同意している。
「開業の再延期」
をメディアはこぞって書き立てているが、この独立記念日のソフト開業はほぼ確実といえるだろう。
ジャカルタMRTが公約である2019年3月の開業を守るために、3月からのソフト開業、4月からの商用運転開始(= 本開業)という手順を踏んだのと全く同じ理屈である。
本格的な工事は2018年中頃から

2022年11月の20か国・地域(G20)に合わせて実施された試運転列車(バンドン側で完成していた約20km区間で実施)出発式典では、
「これ以上の工事遅延は認めない、2023年6月の開業を強く求める」
と海事投資調整大臣は語気を強めたが、その時点では、6月のソフト開業、8月からの商業運転開始を想定していたと推測される。
ただ、2022年12月にはレール敷設用の大型機材が大破するという事故に見舞われ、その遅れが工期遅延にそのまま響いているものと思われる。それでも代替機材ですぐに工事を再開し、大統領が求める8月17日の「開業」を達成するとは大したものだ。
2015年にジャカルタ~バンドン高速鉄道が中国の支援で建設されることが決まったとき、中国は2019年の開業を約束していた。しかし、土地収用問題、そして中国方式に批判的な閣僚や軍の反対もあり、2016年1月に起工式のみ実施されたものの、本格的に本体工事が始まったのは2018年中頃だった。
この時点で2019年開業は諦めざるを得ないということは明らかであり、当時取材したなかで、開業時期は2023年~2024年という回答を得ていた。2024年というのは、中国案による高速鉄道を推し進めた現職ジョコウィドド大統領の任期満了の年であり、タイムリミットという意味合いが強いだろう。
当初計画は工期4年半程度であり、2018年の本格着工時点で、2023年開業というのは妥当なところといえる。そう考えると、本体着工してからは順調そのものに工事が進んできたということがわかる。