泥酔客を「鉄道に乗せない」時代到来か? 駅係員などへの暴力“飲酒がらみ”が7割超、止まぬ蛮行への最適解とは
原因の7割超は飲酒――。日本民営鉄道協会は5月23日、2022年に発生した駅員や乗務員に対する暴力行為の件数を発表した。根本解決には何をしたらいいのか。
急がれる酔客対策
原因の7割超は飲酒――。日本民営鉄道協会は5月23日、2022年に発生した駅員や乗務員に対する暴力行為の件数を発表した。
これによれば、2022年度に首都圏と関西圏の大手私鉄16社で発生した暴力行為は138件で、そのうち73%にあたる101件は加害者が飲酒していた。このことからも、暴力行為を防ぐためにまず必要なのは、
「酔客への対策」
であることがわかる。
このような状況は一貫して続いている。例えば、2015年7月に日本民営鉄道協会が発表したデータでは、2014年度に全国のJRと私鉄32鉄道事業者で駅員や乗務員が乗客から受けた暴力行為は800件。うち57%にあたる454件で加害者が飲酒していたとしている。
一貫して続いているにも拘わらず、鉄道会社各社の対応は十分とはいいがたい。各社の対応は
「受け身」
に徹している。
利用者が最もよく目にする対策は駅構内に貼られた啓発ポスターだろう。ポスターはインパクトを重視したデザインが多く、都度話題になっている。しかし、泥酔した揚げ句に駅員に暴力を振るうようなやからが絶えない現実を見ると、十分に啓発しているとはいいがたい。
直接的な対策としては、警備員による駅構内・車内の巡回が行われている。ただ、これも十分な対策とはいえない。それは、冒頭で述べた日本民営鉄道協会の発表で記されている
・終点である旨を伝え降車を促すと、突然、当該の男性より胸倉をつかまれ降車後、右頬を平手にて殴打され受傷した。
・乗車券が見当たらないため、そのまま通るよう伝えたが、当該の男性は「態度が悪い」と激高し、いきなり頭突きされた。
といった暴力行為の具体的な事例からわかる。