泥酔客を「鉄道に乗せない」時代到来か? 駅係員などへの暴力“飲酒がらみ”が7割超、止まぬ蛮行への最適解とは

キーワード :
,
原因の7割超は飲酒――。日本民営鉄道協会は5月23日、2022年に発生した駅員や乗務員に対する暴力行為の件数を発表した。根本解決には何をしたらいいのか。

最新技術利用のジレンマ

夜の駅のホーム(画像:写真AC)
夜の駅のホーム(画像:写真AC)

 さらに、毅然(きぜん)とした対応を一歩進めることも可能なはずだ。

 現状では飲酒が原因で暴力を振るっても、鉄道会社が取れる措置は、警察に引き渡す程度だろう。ここから一歩進んで、暴力行為を起こした加害者に対して、所定のカウンセリングなどを受けない限り

「以後の乗車を認めない」

とすれば、抑止力にはなるだろう。

 さらに効果的なのは、監視カメラの利用である。鉄道での監視カメラの利用を巡っては、運用方法を巡って議論が繰り返されている。

 2021年10月、JR東日本が顔認識カメラを導入したことでさまざまな議論を呼んだ。このシステムは「不審者」をカメラの人工知能(AI)がキャッチし、警備員が目視で確認の上登録するものだった。

 このシステムが批判されたのは、どのような行為が不審とされるかが非公開で、映像やデータの取り扱いも明らかにされなかったためだ。確かに運用方法には解決すべき問題があるものの、技術的にAIが暴力行為を起こしそうな酔客や、過去に暴力行為を起こした加害者を検知することは十分可能だろう。

 同社では2022年、主要駅で駅員にウエアラブルカメラを装着させる対策を発表したことも話題になったが、監視カメラを使った事前検知のほうが効果的だ。

 こう考えると、最新技術を使った対応が最も効果的に見えてしまう。しかし、それは同時に

「乗客を常に監視している」

という不愉快な感情ももたらす。結局は飲酒に対する甘い対応を止めて「飲んだら乗るな」を徹底するしかない。むしろ、鉄道会社が

「飲んだら乗せない」

までやってもいいかもしれない。

全てのコメントを見る