「赤字路線維持」の約束はどこいった? JR四国・存廃論議入り打診の裏に見える、国の呆れた無策っぷり

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JR四国は管内3路線4線区の存廃論議入りを沿線に打診した。背景には経営安定基金で赤字路線を維持できなくなったのに、抜本的見直しを怠ってきた国の無策が見える。

警戒感を隠さぬ自治体

海陽町の阿波海南駅で発車を待つ牟岐線の列車(画像:高田泰)
海陽町の阿波海南駅で発車を待つ牟岐線の列車(画像:高田泰)

 JR四国は、管内3路線4線区の存廃論議入りを沿線に打診した。背景には経営安定基金で赤字路線を維持できなくなったのに、抜本的見直しを怠ってきた国の無策が見える。

「四国の交通ネットワークのあり方について議論の入り口に立たせてほしい」

3月、JR四国の担当者が愛媛県松山市の愛媛県庁を2023年度の事業説明に訪れた際、口頭で存廃も含めた路線再編協議入りを打診した。

 当時、改正地域公共交通活性化再生法案の審議が、国会で大詰めを迎えていた。法案には国主導でローカル線再編を協議する再構築協議会の設置が盛り込まれていただけに、JR四国は法案成立を見越して動いたもよう。愛媛県交通政策室は話を聞き及ぶにとどめたが、

「路線の利用促進を第一とする県の姿勢に変わりない」

と警戒感を隠さない。

 打診は高知、徳島の両県にも同じ時期にあった。しかし、沿線市町にはない。徳島県阿南市まちづくり推進課は

「意見を求められれば住民に欠かせない路線だと主張するが、話がなく状況が分からない」

愛媛県宇和島市企画課、高知県四万十町企画課はともに

「沿線が力を合わせて利用促進に取り組んでいるところなのに」

と驚いた口ぶりだ。

存廃論議の対象を公表

高松市にあるJR四国本社(画像:(C)Google)
高松市にあるJR四国本社(画像:(C)Google)

 JR四国の西牧世博社長はこれまで、極端に収支が悪化している路線の再編協議を2025年度までに進める考えを示していた。具体的な路線や線区名は出してこなかったが、4月末の記者会見で初めて路線と線区名を明らかにした。

 徳島県を走る牟岐(むぎ)線の阿南(阿南市)~牟岐(牟岐町)間43.2kmと牟岐~阿波海南(海陽町)間10.1km、愛媛県と高知県にまたがる予土線全線の北宇和島(愛媛県宇和島市)~若井(高知県四万十町)間76.3km、愛媛県を通る予讃線海回り区間の向井原(伊予市)~伊予大洲間(大洲市)41.0kmの3路線4線区だ。

 コロナ禍前の2019年度で1km当たりの1日平均輸送人員を示す輸送密度が、牟岐線の阿南~牟岐間605人、牟岐~海部(海陽町、阿波海南~海部間は2020年阿佐海岸鉄道へ移管)186人、予土線301人、予讃線海回り区間の向井原~伊予大洲間364人。いずれも国土交通省の有識者会議が存廃論議入りの目安と提言した輸送密度1000人未満に該当する。

 JR四国は

「4県と四国の交通ネットワークのあり方を協議したい考えだが、詳細については決まっていない」

と述べた。

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