「赤字路線維持」の約束はどこいった? JR四国・存廃論議入り打診の裏に見える、国の呆れた無策っぷり

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JR四国は管内3路線4線区の存廃論議入りを沿線に打診した。背景には経営安定基金で赤字路線を維持できなくなったのに、抜本的見直しを怠ってきた国の無策が見える。

壊滅的人口減で運行が限界に

予土線(画像:写真AC)
予土線(画像:写真AC)

 4線区沿線は四国で最も人口減少が深刻な地域に挙げられる一方、大人ひとりに自家用車1台が当たり前の車社会だ。需要が見込めないことから、予土線全線を走る列車が1日4往復にとどまるほか、ほかも1時間に1本も列車がない。その結果、さらなる利用者減を招く負のスパイラルに陥っている。

 4線区の2019年度輸送密度はJR四国発足直後の1989(平成元)年度に比べ、牟岐線の阿南~牟岐間、牟岐~海部間と予讃線海回り区間の向井原~伊予大洲間は約3分の1に減った。予土線もほぼ半減している。

 このため、JR四国は爪に火をともすような経費節減を進めている。古い木造駅舎を建て直さず、屋根と囲いだけの待合室に切り替えているのを始め、牟岐駅などで端末改修費を節約するため、四国外の切符販売を取りやめた。

 減便を補うための工夫も始めた。牟岐線の阿南~阿波海南間で、JR四国の切符や定期券で徳島バスの高速バス「室戸・生見・阿南~大阪線」に乗車できるようにしたことだ。乗り継ぎしやすい運行ダイヤに変更するとともに、駅でバスの運行情報をアナウンスしている。

 しかし、利用者減に歯止めがかからない。沿線は阿南市と宇和島市が約7万人の人口があるものの、他は5万人に満たない小規模地方自治体ばかり。しかも、今後はさらに人口減少が加速する見込みだ。

 国立社会保障・人口問題研究所の予測によると、2045年の人口は2015年に比べ、予讃線海回り区間沿線の伊予市が約3割、大洲市が約4割の減少となる。

 予土線沿線は、高知県四万十市が約3割減にとどまるものの、高知県四万十町と愛媛県の宇和島市、松野町、鬼北町は半減する。牟岐線は阿南市が3割減、美波町は半減、海陽町と牟岐町は6割前後の減少と推計されている。

 沿線の自治体は観光振興や関係人口の拡大に力を入れているが、ここまで人口が減ると、沿線集落の消滅も考えられる。JR四国は路線維持が限界にきたと感じているのだろう。

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