牟岐線「新駅問題」混迷続く 無人駅なのになぜ徳島県知事選の争点に浮上したのか?
4陣営が新駅めぐって激しい論戦
保守3分裂の徳島県知事選挙がスタートした。争点のひとつに浮上しているのがJR牟岐線新駅設置の是非だ。駅舎もない無人駅の行方がなぜ、県政の課題に浮上したのだろうか。
「JR牟岐線存続のためにも新駅が必要」
「牟岐線新駅は白紙撤回すべきだ」
統一地方選挙のトップを切って告示された徳島県知事選挙。告示後、最初の日曜日となった3月26日、出馬した4候補は小雨のなか、県内各地に選挙カーを走らせた。
立候補したのは、無所属新人で元自民党参議院議員の三木亨氏(55歳)、共産党新人で党県委員会書記長の古田元則氏(75歳)、無所属新人で元自民党衆議院議員の後藤田正純氏(53歳)、無所属現職で自民党県連推薦の飯泉(いいずみ)嘉門氏(62歳)。6選を目指す飯泉氏の前に自民党国会議員を辞職した三木、後藤田の両氏が立ちはだかる保守分裂選挙となった。
・飯泉氏の多選
・人口減少対策
・地方経済の活性化
など多くの争点があるなかで、急浮上してきたのは、徳島市中心部への牟岐線新駅設置の是非だ。県市協調を掲げる飯泉氏と内藤佐和子徳島市長が推進するのに対し、市民団体などが反対運動を展開してきた。知事選では飯泉氏以外の3候補が反対の立場を取っている。
新駅の工事費は2.5~3億円
論戦は知事選の告示前から激しさを増していた。地元の四国大学が3月上旬に開いた立候補予定者と学生の対話イベントでは、古田氏を除く3氏が登壇し、新駅について熱弁をふるった。飯泉氏が
「新駅ができれば高齢者や県外客の利便性が増し、牟岐線存続が可能になる」
と訴えたのに対し、三木、後藤田の両氏は撤回を主張している。
新駅の設置が計画されているのは、徳島市幸町の市役所東側を通る牟岐線。徳島駅と阿波富田駅の中間付近に当たるが、徳島駅からの距離は約650m。駅舎がない約90mの単線ホームで、市役所東駐車場付近に出入り口を設け、市が駅前広場を整備する。
県が推計する年間利用者は15.7万人。JR四国が実施設計を進めているが、地方自治体からの請願駅となるため、工事費は自治体が負担する。県都市計画課は
「実施設計は秋ごろまでに仕上がる見込み。工事費は2.5億円から3億円程度になる」
と説明した。