通学路にクルマはいらない? パリの180か所が「歩行者専用」化で親子安心、日本の一歩先を行く政策とは【連載】牧村和彦博士の移動×都市のDX最前線(11)

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世界で大きなムーブメントを起こしている「クルマのない通学路」とは何か。パリの取り組みを紹介する。

パリにあった「昭和の原風景」

パリ市内のスクールストリートマップ。図は2023年4月17日時点(画像:牧村和彦)
パリ市内のスクールストリートマップ。図は2023年4月17日時点(画像:牧村和彦)

 最近では、夕方などになると子どもたちがスクールストリートに集まり、友達とサッカーをしたり、遊んだりという光景が増えてきているようである。日本にも昔あった、道路で子どもたちが遊んでいるという

「昭和の原風景」

がここにはある。

 スクールストリートを推進してきたアンヌ・イダルゴ市長が提唱するパリ15分都市構想では、地域コミュニティーの拠点として学校の活用や再生を進めている。子どもから高齢者までが安心して集える空間としての基礎固めが着実に進んでいるようだ。市長再選の公約として、スクールストリートの設置を掲げており、2026年までは市内に100か所の歩行者専用空間を創出する計画だ。

 わが国においては、スクールゾーンという名称で、交通事故から子どもたちを守るため、1970(昭和45)年公布の交通安全対策基本法第24条を法的根拠に、1972年春の全国交通安全運動から重点地域の運用が開始され、半世紀が経過した。

 小学校などから半径500mを対象地域とするものであり、運用後も横断歩道やカーブミラーの設置、歩道の拡張がなされ、スクールゾーンという路面標示等が実施されてきた。さらには生活道路を主な対象とし制限速度を30km/h規制とするゾーン30、最近ではゾーン30プラスなど、安全対策が強化されてきている。

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