通学路にクルマはいらない? パリの180か所が「歩行者専用」化で親子安心、日本の一歩先を行く政策とは【連載】牧村和彦博士の移動×都市のDX最前線(11)

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世界で大きなムーブメントを起こしている「クルマのない通学路」とは何か。パリの取り組みを紹介する。

通りに響き渡る子どもたちの声

歩行者専用空間に生まれ変わったスクールストリート(画像:牧村和彦)
歩行者専用空間に生まれ変わったスクールストリート(画像:牧村和彦)

 もちろん、緊急車両や生活支援車両(例えばゴミ収集車)などは通行可能であり、通行可能となるよう歩行者専用の道路幅にも配慮したデザインとなっている。

 沿道に駐車場の出入り口があり、企業の配送が必要な街区も存在することから、完全に歩行者専用にできない場合には、可動式の柵などを街区の出入り口に新設することで、通過交通の侵入を防いでいる。

 学校前の植栽設置の際には、子どもたちも協力して植栽活動を行っている。パリは近年、ヒートアイランド対策として、まちに街路樹を増やしていく活動を積極的に進めており、市民が直接参加する植樹の取り組みは、教育効果も期待でき、素晴らしい活動だ。学校前によっては、街路樹ではなく果樹園としているところもあるそうだ。

 筆者(牧村和彦、モビリティデザイナー)が2022年9月にパリを訪れた際に訪問したいくつかのスクールストリートでは、日中は子どもたちがクルマを気にすることなく安心して歩道を縦横無尽に走り回っている姿があり、夕方の下校時には、迎えに来た親たちが学校前で談笑し、子どもが親元に走って駆けていく姿がとても印象的であった。

 何よりも静かであり、談笑する声、子どもの声、自然の音などが通りに響き渡っていたことは今でも忘れられない時間であった。

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