「オスプレイ」は本当に安全なのか? 賛否ありきの主張を排し“技術目線”で解説する

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佐賀空港への陸上自衛隊オスプレイ配備が、本格的に始動する見込みだ。その安全性について、戦闘機や哨戒機、輸送機の開発に関わってきた専門家が解説する。

本格始動したオスプレイ配備

オスプレイ(画像:写真AC)
オスプレイ(画像:写真AC)

 地元住民の反対で足踏みとなっていた佐賀空港への陸上自衛隊オスプレイ配備が、地権者が用地売却に応じたことによって、本格的に始動する見込みである。

 佐賀空港の建設にあたっては、漁業組合との間で結ばれた協定書に

「自衛隊と共用しない」

ことが約束されており、これを一方的にほごにする配備計画は、地元の漁民らから強い抵抗を受けていた。

 本来、国民を守るべき存在である自衛隊や日本政府が、地元住民の反対を押し切って基地整備を進めることへの抵抗や疑問は、佐賀県民ならずとも当然である。

 反対派住民が懸念しているのは、陸上自衛隊の駐屯を許すことによって、なし崩し的に米軍の利用を招き、空港の設置目的に反した軍事基地化が進められることのほか、基地施設が漁業や農業に与える影響、そして配備されるオスプレイの安全性である。

実用化されたティルト・ローター機

佐賀空港(画像:写真AC、(C)Google)
佐賀空港(画像:写真AC、(C)Google)

 周知のとおりオスプレイは、これまでに実用化された唯一のティルト・ローター機である。

・ヘリコプターモード
・飛行機モード

の形態転換によって、回転翼機(ヘリコプター)と固定翼機(飛行機)の双方が持つ欠点を解消し、運用自由度を拡大した画期的な航空機だ。

 しかし、ヘリコプターでも飛行機でもない存在となったことで、オスプレイは既存航空機の安全性設計が適用できない航空機となった。ティルト・ローター機としての安全性を独自に確立する必要があり、その設計と運用が世に問われる存在なのである。

 このオスプレイの安全性については、これまで世界中で論争が繰り返されているが、正確な技術認識を踏まえた議論よりも、賛否ありきの主張ばかりが目につく。

 本稿では、そうした立場からの議論ではなく、技術的な視点を踏まえた論考を、わかりやすく提供することを試みたい。

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