「オスプレイ」は本当に安全なのか? 賛否ありきの主張を排し“技術目線”で解説する
佐賀空港への陸上自衛隊オスプレイ配備が、本格的に始動する見込みだ。その安全性について、戦闘機や哨戒機、輸送機の開発に関わってきた専門家が解説する。
求められる「運用モラルの順守」
パイロットによる操縦も、オスプレイには従来の航空機と違った手順が求められる。
特に、ヘリコプター・モードで離陸してから前進飛行に移行する際、十分な前進速度がないまま飛行機モードに遷移すると、機体はバランスを失って墜落する。
エンジン・ナセルを前方に回転させることで機体の重心位置が前進するため、前進速度による空気力で釣り合いを取る必要があるからだ。これはパイロットの直感に一致しない操縦方法で、2012年にモロッコで起きた墜落事故の原因でもある。
航空機の安全は、設計による「技術的なリスク対策」だけでなく、運用者による徹底的な「規定順守と訓練」で維持することが欠かせない。危険事象が発生した場合は、速やかに規定に反映していくことも重要である。
しかし、普天間基地のオスプレイなどは、米軍自身が約束した規定さえ無視した運用が行われており、住民の不信を根強いものにしている。
佐賀空港への配備強行という機会に、航空機の安全性は
「運用モラルの順守」
も含めた問題であることも、改めて広く認識される必要があるだろう。