スペースジェット失敗に漂う壮大な「虚無感」 国家プロジェクトを破壊する“縦割り行政”と今なお続く“対米従属”の宿痾とは

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三菱スペースジェット(旧MRJ)の開発企業であった三菱航空機は、社名を「MSJ資産管理株式会社」へ変更し、事業の清算会社となった。事業の失敗には、日本という「国のあり方」そのものが、その根底として関わっている。

スペースジェット事業の清算

初飛行する国産初の小型ジェット旅客機「MRJ」。2015年11月11日撮影(画像:時事)
初飛行する国産初の小型ジェット旅客機「MRJ」。2015年11月11日撮影(画像:時事)

 三菱スペースジェット(旧MRJ)の開発企業であった三菱航空機は、社名を「MSJ資産管理株式会社」へ変更し、事業の清算会社となった。

 既に開発の中止を受けて、予約注文していた航空会社に対しては契約解消と補償が進められているが、今後しばらくは、こうした清算に関わる業務が同社で行われていくのだろう。

 国土交通省に登録されていた試作機は5機存在したが、2022年3月に製造番号10003の機体が抹消登録されたのに続き、残り4機も抹消の届け出が行われた(2023年3月6日付)。抹消理由は、いずれも

「航空の用に供さないため」

であり、これによってMRJは企業の財産上も航空機ではなくなった。

ダメージは三菱重工業だけにあらず

中小企業のイメージ(画像:写真AC)
中小企業のイメージ(画像:写真AC)

 スペースジェット開発の失敗によって打撃を受けた企業は、親会社の三菱重工業だけではない。

 地元の愛知県などを中心に、航空機製造を支える下請けとして存在する数多くの企業群が、開発難航と失敗を受けて、事業計画の大きな修正を迫られてきた。

 現時点では、スペースジェットの代わりになるような航空機製造事業は、防衛需要を含めても見当たらない。

 既に、防衛省向けの国産航空機は需要が大幅に縮小しており、機体メーカーの下請けとなる装備品製造企業が、次々と防需品の生産から撤退している。

 そうしたなかで、スペースジェット事業の失敗が日本の航空機産業に与えた影響は、決して小さなものではない。

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