陸自ヘリ墜落をなぜか「中国撃墜」認定 防衛省否定もどこ吹く風、“陰謀論”界隈に蠢く懲りない面々とは
陸上自衛隊のヘリコプター墜落事故の報道を受けて、「本当は中国に撃墜されたのではないか」という臆測がSNS上などに拡散された。なぜ陰謀論は生まれるのか、そして陰謀論を生むのは誰なのか。
事故直後から広がった撃墜説
陸上自衛隊のUH-60JAヘリコプター墜落事故の報道を受けて、本当は中国に撃墜されたのではないか、という臆測がSNS上などに拡散された。その出どころは定かではないが、おそらく同時多発的に発生した流言だろう。
【無料セミナー】「自動車DXサミット vol.3」 三菱ふそう KTC マツダ登壇 Amazonギフトカードプレゼント〈PR〉
現場は当初から伝えられているとおり、
「宮古島の至近」
であり、外国軍隊との接近が考えられる場所ではない。また、それを疑わせるような事実が報じられていたわけでもなく、中国軍による撃墜などというのは、
「防衛省が否定している」
とおり根拠のない臆測である。
陰謀論とは何か
それにもかかわらず、SNSやブログという発信手段が広く普及し、誰もがクリックひとつで拡散できるため、あっという間に多くの人に共有されてしまった。
恐ろしいことに、どんな荒唐無稽な想像や陰謀論でも、多くの人が関心を持つことで、あたかも合理的な仮説であるような印象を抱く人が出てくる。陰謀論とは、
「ある事件や出来事について、事実や一般に認められている説とは別に、策謀や謀略によるものであると解釈する考え方」(デジタル大辞泉、小学館)
を指す。
「多くの人が拡散しているのだから本当かもしれない」
「当局は情報を隠蔽(いんぺい)しているのではないか」
という具合に臆測が臆測を呼び、やがて陰謀論として定着していくのだ。
こうした陰謀論の対象になった航空事故の代表例に、日本航空のジャンボ機、いわゆる日航123便の墜落事故(1985年)がある。
この事故に関してはいまだに当局の発表した事故原因を否定する論者が後を絶たず、何冊も書籍が出版されているほか、著名な言論人がこれを支持しているありさまである。