米IT大手で相次ぐリストラ 日本も「解雇規制」緩和すべきか? 人材流動化という美辞麗句に潜んだ、深い落とし穴とは

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米国では、市場の変化に対応する組織変革のダイナミックな方法として、解雇や雇用調整などによる「人の入れ替え」がよく行われる。そのメリットとデメリットとは。

「人の入れ替え」が急増する世界経済

自動車(画像:写真AC)
自動車(画像:写真AC)

 米国では、市場の変化に対応する組織変革のダイナミックな方法として、解雇や雇用調整などによる「人の入れ替え」がよく行われる。

 IT業界を例に挙げると、2022年末にはインスタグラムとフェイスブックを運営するメタ・プラットフォームズが1万1000人の解雇を発表し、その後新たに1万人を解雇すると報道された。

 また、2023年に入ってもツイッターが全従業員の半数にあたる3700人の解雇を、グーグルも世界で約1万2000人の解雇を発表し、それぞれ大きな話題になった。

 日本でも自動車業界は電気自動車(EV)の普及など、

「市場の構造的変化」

に対応しようと努力している最中だが、組織変革の選択肢を増やすため、解雇規制を緩和すべきという議論が再燃している。

解雇規制撤廃のメリット

バス(画像:写真AC)
バス(画像:写真AC)

 解雇規制緩和の推進側が、

「解雇規制をすれば、社会的適材適所が実現されて、企業も労働者も双方メリットがある」

とする理屈はおおむね以下のようなものだ。

 まず、解雇規制が撤廃されると、企業が必要に応じて労働者を解雇しやすくなる。そのため、雇用調整がスムーズにできるようになり、コストの変動が激しい産業や景況感の不安定な時期でも、企業は迅速に経営を調整することができるようになる。

 これは、もちろん企業側にとってはメリットだ。一方、労働者側のメリットは、企業側に解雇できるという「保険」があれば、逆に、人を採用しやすくなることだ。

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