サウジアラビアが世界最大「ハブ空港」建設予定も 立ちはだかるエミレーツ「中東御三家」の壁、日系各社に影響あるか
サウジアラビアのサルマン皇太子が「リヤドエア」の設立を発表した。世界100都市への就航を2030年までに目指す計画だ。日本の航空会社への影響はあるのか。
世界100都市への就航、2030年までに
サウジアラビアを世界のハブ空港へ――。
2023年3月、サウジアラビアのムハンマド・ビン・サルマン皇太子がサウジアラビア国営の航空会社「リヤドエア」の設立を発表した。世界100都市への就航を2030年までに目指す計画だ。
使用機材として現時点で発表されているのは、ボーイング社のB787-9(ドリームライナー)で、既に39機の発注が確定、追加で33機を予定しているとのことだ。
突如発表された新航空会社の設立に航空業界に激震が走ったが、実は1年前の2022年2月、サウジアラビアは首都リヤドのキング・ハーリド国際空港を拡張して、年間最大1億2000万人の旅行者を扱う、世界的なハブ空港であるキング・サルマン国際空港を建設する計画を発表していた。今回の航空会社の設立は、その計画の一部というわけだ。
世界の空港の力関係
国を挙げての大規模な世界的ハブ空港化計画は実現するのだろうか。
ハブ空港として成功するためのポイントはいくつかあるが、現時点での見込みは厳しいと筆者(加藤舞、海外旅行ライター)は考える。
コロナ以前、2019年の国際線利用が多い空港ランキングの上位には、中東のドバイ国際空港(DXB)、ヨーロッパ内ではロンドン・ヒースロー空港(LHR)、アムステルダム・スキポール空港(AMS)、パリ・シャルルドゴール空港などが入っていた。
以前は、ヨーロッパの空港が世界のハブ空港として名をはせていたが、この10年間で勢力図は様変わりした。世界中の主要都市を結ぶ中心的地理を生かし、中東の空港がメキメキと力を付けてきているのだ。